高気密高断熱住宅を造るという観点で気密性能と防湿性能は全く違う物です。 ここを勘違いしている建築屋さんが多いなと感じます。 いや、多すぎです。
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気密性能とは?
そもそもの話ですが気密性能は気密測定器を使って測定します。 いつ、誰が、何の為にこの測定器を作ったのかと言いますと、 今から40年程前に、北海道大学の荒谷教授が、 日本で初となる高気密高断熱住宅の漏気と共に漏れる水蒸気の量を測定する為に開発した測定器です。 本来、「水蒸気の量」と言うワードが大事で、 今では何故かただの空気の漏れる隙間の大きさの測定器となってしまいました。 言い換えれば、防湿フィルムの性能がしっかりしているかを測る為の物が、 隙間を測って、その隙間が少ない住宅が良いと間違って理解されるようになってしまいました。
水蒸気の分子について
例えば、1つの水蒸気の分子を4cmとすると、ほとんどの建築材料は概ね20cmの穴になりますから、 水蒸気はラクラク建築材料を通過して行きます。 (ガラス、金属、ビニールフィルム等以外)ビニールクロス(壁紙)、ボード、プラスチック系ボード断熱材まで 当然のように通過します。 水蒸気が入り込むということは、壁の中で結露が発生します。 それを防ぐために防湿フィルムを屋内側に施工するしかないのです。 気密測定をし、隙間が少なければ、漏気と共に水蒸気が壁体内に入る量が少ないと判断する事が本来の使い方となります。 ところが、 プラスチック系ボード断熱材を外張りにして繋ぎ目をテープで貼るだけで、気密性能は上がります。 防湿層無しで、水蒸気の存在は無視の設計施工。
大きな勘違い
数ヶ月前、吸放湿性のある壁材に10cmの分厚いプラスチック系断熱材、 そして3枚ガラスの高性能木製サッシの施工中の現場を見学に行きました。 大勢の建築業界の方が見学に来ていました。 その断熱材の厚さ、高性能なサッシ、高性能をアピールする数値化した看板に 大勢の人たちは驚いた様子でした。 でも、一番大事な防湿フィルム施工が抜けている訳ですよ。 これって国が、「プラスチック系のボード断熱材を外張りする場合、防湿フィルムは省略する事が出来る」って、 あり得ない事を指導してしまったせいなのかどうか、わかりませんが、 水蒸気が悪さする事は全く無視。 気密性能=ただの漏気だと思っているという事。 少し名の知れた先生の設計だそうで、私は何も言わずに帰って来ました。 何の収穫も無し。
防湿施工をしない家とは
防湿施工をしない家を、長持ちさせて、かつ、快適に暮らすには、 暖房費はケチらずに30℃以上まで暖房し続けて、 さらに水蒸気を発生させないように乾燥状態を保ち続けるしかないのです。 肌には悪いし、インフルエンザウイルスも活き活きし、喉はカラカラ。 若しくは、家は短命と諦めるか? 如何なものでしょう? これを読んだ上で、「私は防湿しない!」という人は、自殺行為ですね。 これを読んで頂いた学生さんで、本気で住宅建築に携わりたいと思っている方、 北海道で就職するか、百年の家プロジェクトに加盟している建築屋さんに就職できれば、 いい事だらけですよ!
スタジオそら株式会社
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